Netflixにて配信されたドラマ『クイーンズ・ギャンビット』。ドラマチックだけど現実味に溢れていて、「これって実話なの?」と疑問に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、Netflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』の原作や、物語のモデルとなった人物、ベスが依存する薬がどのような薬なのか、などについてご紹介します!
Netflix『クイーンズ・ギャンビット』は実話ではない
Netflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』は実話に基づいた作品ではありません。本作は、アメリカ人作家故ウォルター・テヴィスの小説『The Queen’s Gambit』を原作としており、主人公ベス・ハーモンも実在の人物ではありません。
主人公ベス・ハーモンのモデルは著者自身?
主人公ベス・ハーモンは実在しませんが、小説『The Queen’s Gambit』は、著者ウォルター・テヴィス自身の経験からインスピレーションを受けた作品であると言われています。
ウォルター・テヴィスは、子供の頃にチェスをはじめ、クラスC(中級程度)に属していました。ドラマの中で、ベスが初めて参加する大会の受付で「レートは?」と聞かれていていましたよね。ウォルター・テヴィスのクラスCは、中級よりやや低めが目安です。
小説の中のチェスのシーンは、彼のチェスプレーヤーとしての経験をもとに描写されているところがあると、彼は語っています。
ベスの薬物依存も著者自身の経験から
ベスが薬に依存する設定も、実は彼自身の経験からきているとのこと。
ウォルター・テヴィスは、若い頃にリウマチ性心臓病と診断され、病院で強い薬を投与されたそうです。その経験が、小説の中のベスの薬依存のもととなっています。
「それ(ベスの薬物依存)について書くことは苦しかった」とウォルター・テヴィスは語っています。
1972年のチェス世界選手権がインスピレーションに
ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』は、冷戦時代のアメリカが舞台となっています。このことから、最終エピソードでベスとボルゴフが戦うシーンは、1972年の世界選手権がインスピレーションになっていると考えられます。アメリカ人天才チェスプレーヤーのボビー・フィッシャーが、旧ソ連のボリス・スパスキーを破った「世紀の試合」とも呼ばれる歴史的な試合です。
主人公ベスが依存する薬は?
孤児院でビタミン剤と一緒に飲まされる緑の薬。ベスはその「緑の薬」に依存してしまうのですが、「あの薬って本当に存在するの?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
薬の正体は「抗不安剤」
ドラマの中では英語で「Xanzolam」と呼ばれている緑の薬。日本語では「精神安定剤」と訳されていました。実際には「Xanzolam」という薬は存在しません。
しかし、Newsweekの記事によると、抗不安剤のリブリウムやクロルジアゼポキシドがモデルとなっていると考えられています。緑を基調とした2トーンのカプセルが、ドラマのものとよく似ているのだそう。不安感や不眠症の治療のほか、アルコールやドラッグ依存症からの離脱症状などにも使われていました。
若い女性や主婦に常用されていた
これらの抗不安剤は、ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』と同じ時代、1960年代によく飲まれていたようです。肉体的に健康な若い女性や主婦に多く販売されていました。
ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』のシーンでも、お酒を買う若い女性や主婦の描写がありましたよね。彼女たちは、その時代の女性像「女性は、専業主婦として家事と育児を担い家庭を守ることが理想」という社会通念に対して不満や憤りを感じていたのでしょう。
本当に孤児院で投与されていたらしい
ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』では、孤児院にいる子供すべてが、この抗不安剤を飲まされていました。BuzzFeedNewsによると、1900年代中頃にアメリカやカナダの孤児院などでも、実際に抗不安剤が処方されていたと言われています。子供を落ち着かせておくために使用されていたそうですが、とても残念で悲しい事実ですね。
『クイーンズ・ギャンビット』シーズン2はある?
断言はできませんが、Netflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』のシーズン2はないと言っていいでしょう。
全7話完結のミニシリーズとして配信されているため、今後シーズン2が出てくるとは考え難いです。
内容的にも、ベスが自分の問題を克服し、最大のライバルに打ち勝ち、しかも仲間もいる…、という最高の結論で物語が終わっています。同じキャラクターで、しかもその後のエピソードとしてシーズン2が制作されるのはないような気がします。
しかも、ウォルター・テヴィスの小説も、ドラマと同じところで完結しています。
素晴らしい作品なので、ぜひシーズン2も期待してしまうところですが、個人的には、ベス・ハーモンの物語はこのままで置いておいてほしいなと思っています。
まとめ
Netflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』の疑問について解説いたしました。
アニャ・テイラー=ジョイの目ヂカラがすごい!と話題の作品ですが、確かに、作品中での彼女の瞳や仕草は、視聴者を魅了しストーリーの中に引き込む力があります。もちろんストーリーも、オーソドックスなのに何故か強くズッシリと心に響く名作です。
ドラマなのに映画並みのクオリティには、さすがNetflix…という感じです。今後もNetflixのオリジナル作品に目が離せませんね。