ニューヨーク高級住宅街に住むセレブ一家のナニー(住み込みベビーシッター)となった主人公アニーが、自分勝手な雇い主にブチ切れる!そこで彼女が見つけたものとは?子守りはなにをミタ?
当記事では、映画「私がクマにキレた理由(わけ)」の
- 作品情報
- あらすじ(ネタバレなし)
- ネタバレあらすじ・結末
- 感想・考察
について順番にご紹介します。
なお当記事には、映画「私がクマにキレた理由(わけ)」のネタバレ内容が含まれます。作品をまだご覧になっていない方はご注意ください。
contents
【私がクマにキレた理由】作品情報
【公開年】2008年(日本)
【監督】シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ
【出演】スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、ポール・ジアマッティ、ニコラス・アート、アリシア・キーズ、クリス・エヴァンス、ドナ・マーフィー ほか
【制作国】アメリカ
【上映時間】106分
【配信元】ワインスタイン・カンパニー/ショウゲート
原作は、アメリカのベストセラー小説「ティファニーで子育てを」。ナニーとして働いた経験のある作家エマ・マクローンとニコラ・クラウスが、実体験に基づいて執筆した作品ということで話題になりました。
監督・脚本を務めたのは、「アメリカン・スプレンダー」のシャリ・スプリンガー・バーマンとロバート・プルチーニ。最近では、アマンダ・セイフライド主演の映画「闇はささやく」も手がけています。
主人公アニーを演じるのは、「アイランド」「アベンジャーズ」シリーズのスカーレット・ヨハンセン。やりたい放題の母親役に「トゥルーマン・ショー」のローラ・リニー、アニーと恋仲になる「ハーバード・ホッティ」役には「キャプテン・アメリカ」のクリス・エヴァンスが出演しています。
【私がクマにキレた理由】あらすじ(ネタバレなし)
ひょんなことからNYの高級住宅街に住むセレブ家族のナニー(住み込みベビーシッター)となったアニー。妻子に無関心な父親と、子供のことはナニーに任せっきりで好き勝手する母親にとうとうアニーは耐えられずブチ切れてしまいます。
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【私がクマにキレた理由】ネタバレあらすじ結末
大学を卒業したものの、自分がどんな人物で何を目指しているかわからず悩む主人公アニー。ひょんなことからニューヨークの高級住宅街に住むセレブ一家のナニー(住み込みベビーシッター)をすることになります。
セレブな生活を期待していたアニーでしたが、現実は厳しいものでした。雇い主のミセスXは人遣いが荒く、子供はほったらかしで好き放題。夫はいつも仕事で忙しく妻子に無関心。そんな家庭にうんざりしながらも、子供グレイヤーに寄り添い同情するアニー。グレイヤーも、少しずつアニーに心を開いていきます。
初めてのナニー業に奮闘するアニーに素敵な出会いが到来します。お相手は、同じマンションに住む「ハーバード・ホッティ」からデートに誘われ、付き合いはじめることになります。彼はアニーの過酷な労働環境を知ってナニーをやめるように勧めますが、グレイヤーのことが気になり踏み切れないアニー。
そんな折、男性とのお付き合いはナニーのルールに反するとして、アニーは解雇されてしまいます。さらには、ミセスXがアニーの行動を監視するカメラをクマのぬいぐるみに隠していたことが判明。怒ったアニーは、これまでの怒りや思いをカメラの前でぶちまけます。
アニーのビデオを見たミセスXは、グレイヤーが大切な存在であることを再認識し、ミスターXとの離婚を決意します。その後、グレイヤーとの幸せな近況をミセスXからの手紙で知ったアニーは、幸せな気持ちになるのでした。(もちろん、イケメンのヘイデンとはお付き合い進行中です。)
【感想・考察】著者が本当に伝えたかったメッセージとは?
主人公アニーのナレーションで、人類学の研究レポート風に物語が展開していくところがコミカルな本作。
随所に見られるちょっとした演出もセンスあり。例えば、フワフワと空に浮かぶ赤い傘のシーン。これは、ナニーを主役とした名作「メリー・ポピンズ」のオマージュ。さらには、アニーが1番長い単語として「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」とメリー・ポピンズ由来の言葉を口にしています。
また、「ミセスX」「ミスターX」「ハーバード・ホッティ」など、最後まで登場人物の本名を明かさないところも文学的でおもしろい。人類学を副専攻していたアニーが、この3人を人類学的な研究対象として観察しているということを示唆しているのでしょうね。のちに、アニーと関係を築いたタイミングで名前が明かされます。
実は原作では、主人公もアニーではなく「ナニー」のまんまなのだそうです。これは、ミセスXがアニーのことを「ナニー」としか呼ばず、1人の人間としてではなくナニーとしてしか見ていないことの象徴なのかもしれませんね。
主人公アニーを演じるのはスカーレット・ヨハンセン。いつもの美しくセクシーな役柄ではなく、今回は普通の女の子を演じています。ちょっと垢抜けしない「上京したての女の子」を演じるスカヨハは好感度大。これだけでも見る価値ありかも!
スカーレット・ヨハンセンが演じるアニーは、母に強く勧められて、大手企業に就職しようとします。安定した職業に約束された高収入。「あなたのようになれるならママは何でもするわ」と言う母の言葉にも一理あり。しかし「自分はどんな人物で、本当にこれは自分のやりたいことなのだろうか」と疑問に感じるアニー。
そんな彼女がナニーの経験を通して成長し、自分の道を見つけていく姿を描いた本作。ありがちなテーマではありますが、これからの人生を模索している若者の心にはきっと響くはず。(もちろん若者じゃない方の心にも!)
アニーの恋のお相手「ハーバード・ホッティ」を演じるのはクリス・エヴァンス。わ、わ、若い!という印象。キャプテン・アメリカは好きだけどクリス・エヴァンスは普通…という私から見ても、爽やかでカッコいいです。お金持ちのぼっちゃんのイメージにピッタリ!
超自己チューで高慢なセレブ妻ミセスXを演じるのは、実力派女優ローラ・リニー。こんなに意地悪な役は今回が初めてのような気がしますが、本作のキャストで1番ハマり役なのではないでしょうか。高慢だけど悩みを抱えるミセスXを、感情たっぷりに表現しています。
ミセスXの自分勝手さには嫌悪感しかありませんが、彼女を上回るほどの横暴な夫ミスターX(ポール・ジアマッティ)にも怒りがこみ上げます。ミセスXもある意味被害者なんだと、作品後半では少し哀れに感じてしまいました。
X夫婦やほかのセレブを観察しながら、アニーが気づいたのは「地位やお金があっても決して幸せな人生を送れるとはかぎらない」ということ。少し回り道をしましたが、アニーは自分が1番やりたいことである人類学の道へ進むことを決心します。
本作のジャンルは「ロマンチック・コメディ」ではありますが、X夫婦の自分勝手な言動には観ていて腹も立つし、社会的なメッセージも受けとることができます。
本作の原作「The Nanny Diaries(ティファニーで子育てを)」を手がけた著者エマ・マクローリンとニコラ・クラウスによると、物語を通して「ナニーの過酷な労働環境を多くの方に知ってほしかった」とのこと。
大学のバイト時代も含めて、30家族のナニーを経験したことがある著者たち。そのうち2年間は、アニーのようにフルタイムのナニーとして働いていました。この経験をもとに書かれた小説は、もちろんフィクションではありますが、ナニーに対する不当な扱いについての描写は全てがフィクションなわけではないようです。
「ナニーは職業なんです。……自分が扱われたいようにナニーを扱ってあげてください。労働契約や就業時間を守り、敬意をもってコミュニケーションをとってください。」と著者は語っています。
【私がクマにキレた理由】まとめ
映画「私がクマにキレた理由」のあらすじやネタバレ考察をご紹介しました。
人生を歩んでいると、誰でも1度はふと立ち止まって「私の人生はこれでいいのだろうか?」と考えることってあるはず。1度とは言わず、何度もあるかもしれません。そんな時にぜひおすすめしたい作品です。もちろん、笑って元気になれる作品としてもおすすめですよ!
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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