第94回アカデミー賞において、作品賞、助演男優賞、脚本賞の3部門を見事制覇した映画「コーダあいのうた」。
ご覧になった方の中には…
「コーダ（CODA）ってどんな意味？」
「ラストシーンの手話の意味は？」
「俳優はみんな聴覚障がい者って本当？」
などなど、気になったところもあったのではないでしょうか？
そこで当記事では、映画「コーダ あいのうた」がもっと面白くなる見どころをご紹介していきます。
【CODA】とはどんな意味？
本作のタイトルにある「CODA（コーダ）」とは、
「Child of Deaf Adults」の頭文字をとった言葉で、「聞こえない親のもとに生まれた聞こえる子ども」という意味です。
とうことは、タイトル「コーダ」は主人公ルビーのことなんですね。
それ以外にも、音楽用語で「coda」は「楽曲や楽章の終わり、終結部」を意味します。主人公ルビーが家族のもとから巣立ち、大人へと歩み出す姿を描いた本作は、この音楽用語「coda」ともかけ合わせたダブルミーニングなのかもしれません。
ラストシーンでのルビーの手話はどんな意味？
ボストンにある名門バークリー音楽大学へ入学するため、家族のもとを離れることになったルビーが、彼女を見送る家族に向けて送った手話。ASL（American Sign Language）で、
「I love you.（大好き）」という意味です。
アルファベットで、小指が「I」、人差し指と親指が「L」、親指と小指が「Y」を示していて、「I Love You.」の頭文字になっているんです。
さらにルビーは、中指を人差し指にかけて「I really love you.（本当に大好き）」と伝えています。
聴覚障がい者の起用はマストだった
「耳の聞こえない人の役があるのに、耳の聞こえない優秀な役者を起用しないというのは考えられなかった」と語るのは、「コーダ あいのうた」の監督・脚本を手がけたシアン・ヘダー。
そんな監督の強いこだわりから、ルビーの家族を演じる3人はすべて耳が不自由な俳優が抜擢されました。
まず、ルビーの母ジャッキー役を演じたのは、映画「愛と静けさの中に」の主演で映画デビューし、アカデミー賞®︎とゴールデン・グローブ賞を獲得したマーリー・マトリン。聴覚障がいをもつ女優として大活躍しており、数々の作品に出演しています。本作制作においてシアン・ヘダー監督は、マーリーからさまざまなアドバイスをもらったとのこと。
そのほか、ルビーの父親フランク役には俳優トロイ・コッツァーがキャスティング。トロイ・コッツァーは、第94回アカデミー賞で助演男優賞を獲得して話題になりました。男性のろう者の俳優としては初の受賞とのことです。
兄レオ役のダニエル・デュラントも、視聴覚障がい者でありながらも、映画やドラマなどで大活躍中の実力派俳優として知られています。
手話マスターが手話を監修
映画「コーダ あいのうた」では、ASL（アメリカ手話）の監督「DSL」として、聴覚障がいをもつ俳優・ダンサーのアレクサンドリア・ウェルズが起用されました。。
DSLとは、「演劇の経験が豊富で、ろう文化や歴史を理解している人物」のことだそうです。DSLはさまざまな要素を考慮しながら、シーンごとにどの手話がベストなのかを決める役割を担います。
さらには、撮影現場においてもアメリカ手話に秀でた人たちが採用され、モニターをチェックを行いながら細かい指示を出していたとのことです。
「ステレオタイプのろう者を描写したくなかった」というヘダー監督の強いこだわりが感じられますね。
主演エミリア・ジョーンズは手話の達人に？
主人公ルビー役を演じたエミリア・ジョーンズは、アメリカ手話の講師アンセルモ・デソウザから手話やろう文化について学びました。
「大変だったけど、私は挑戦することが大好きなの」と語るエミリア・ジョーンズ。撮影中、フランク役トロイ・コッツァーのアドリブにアドリブで返せるほど、手話が上達したのだとか。
手話だけでなくろう文化も学んだことで、ルビーの家族役の俳優たちとも良い関係を築くことができ、さらには演技においてもお互いに影響し合うことができたのだそうですよ。
まとめ
映画「コーダ あいのうた」のタイトルや手話の意味、キャストなどについてご紹介しました。
「この映画を観て、耳の聞こえない人と聞こえる人が一緒になって笑って、同じ感情を経験するのは素晴らしいことだ」とコッツァー（ルビー父親役）が語るように、本作は、自分とは異なる状況であったとしても、登場人物に共感し、彼らとの結びつきを感じることができるような素敵な作品です。
当記事が、もう1度作品をご覧になる時の参考となれば嬉しいです！
こちらのサイトを参考にさせていただきました↓
映画『Codaコーダあいのうた』公式サイト｜GAGA
『コーダ あいのうた』エミリア・ジョーンズにインタビュー。アドリブができるまでになった手話は「今も勉強を続けています」｜GINZA
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